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前回の記事では、
子どもの運動能力を伸ばすためには、からだの根っこ=コアを育てることが大切で、
コアを育てるには、赤ちゃんの発育発達過程に沿った動きが大切ということをお伝えしました。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
ということで、今回から、【からだの根っこを育てる赤ちゃんトレーニングシリーズ】を掲載していきたいと思います。
今回は、からだの根っこを育てる赤ちゃんトレーニングシリーズ第一弾!
【泣く】についてお伝えしていきます。
目次
赤ちゃんが泣くのはどんなとき?
【泣く】という行為が身体にもたらす効果を考える前に、
まずは、赤ちゃんが泣くのはどんなときか?を考えていきます。
- お腹が空いたとき
- 暑い、寒いとき
- おしっこやうんちでオムツが汚れたとき
- 眠いとき
- 身体が痛いとき、かゆいとき
などの場面が考えられると思います。
赤ちゃんはまだ言葉が話せないので、泣くことでパパ・ママに訴えているのです。
赤ちゃんにとって、泣くことは唯一のコミュニケーション手段なんですね。
なのでパパ・ママは、赤ちゃんが泣いていると、
ミルクをあげたり、オムツが濡れていないか確認したり、抱っこしてあやしてみたり…
思いつく限りありとあらゆる手段で赤ちゃんの不快感を取り除いてあげようと手を尽くします。
それでも、何をしてあげてもなかなか泣き止まない…
「なんで泣いてるの?!」とパパ・ママは心をすり減らすこともあるかもしれません。
そんなときはもしかすると、赤ちゃんは泣くことでトレーニングをしているのかもしれません。
え?泣いてトレーニング?どういうこと?
ここからはそんな疑問にお答えしていきます。
泣くこと≒体幹トレーニング
結論からお伝えすると、赤ちゃんは泣くことで体幹トレーニングをしています。
赤ちゃんは生まれるまでは羊水の中で育っており、重力のある世界で身体を支えるという経験を積んでいません。
そのため、重力のある世界に出てきたときには、首は座っておらず、身体もくにゃくにゃです。
なのでまず赤ちゃんは、身体をしっかり安定させることが必要です。
身体を安定させるとは?
ヒトの身体は骨と筋肉で支えられています。
全身を支えるのに重要となるのは、体幹部分です。
体幹部分の骨は、一本柱の背骨の上に傘を広げたような肋骨(あばら骨)が乗っている状態です。その上にさらに頭が乗っているのです。
これは構造的にとても不安定で、骨だけではすぐに崩れてしまいます。
そのため、体幹を支えるために筋肉がたくさんついています。
この体幹部分の筋肉をしっかりと使えるようにすることで、体幹を安定させ、全身を支えることができるようになるのです。
この体幹を安定させるというのは、前回の記事でも記載したように、コア機能を高めるということと同義です。
赤ちゃんは、身体を支えるために、コア機能を身に着ける必要があり、
「泣く」という“運動”を通して、体幹のインナーマッスル(=狭義のコア)をしっかり使えるようにし、重力に対して身体を支えるための準備をしているのです。
では、なぜ「泣く」ことでインナーマッスルを使えるようになるのか?
についてお伝えしていきます。
「泣く」ことでインナーマッスルを活性化
そもそも体幹のインナーマッスルとは、上の図からもわかるように、
腹横筋、多裂筋、横隔膜、骨盤底筋の4つの筋肉のことを指しています。
(※厳密には、体幹のインナーマッスルにはその他の筋肉も含まれますが、ここでは便宜上この4つの筋肉にフォーカスしてお伝えします。)
これらの筋肉は、呼吸と深く関わっています。
「泣く」という行為は、息を吐き出して行っています。
しっかりと息を吐き出さなければ、大きな声で泣けません。
つまり、「泣く」という行為は「呼吸をする」という運動と同義なのです。
ということは、「泣くことでインナーマッスルを活性化する」≒「呼吸をすることでインナーマッスルを活性化する」ということができます。
では、呼吸することでインナーマッスルを活性化するとはどういうことでしょうか?
息を吸う(吸気)→横隔膜を活性化
ヒトが息を吸うことを吸気と呼びます。
この吸気時には、インナーマッスルの1つである横隔膜を主に使われます。
横隔膜は肺の真下にある膜状の筋肉です。
息を吸うことで、この横隔膜が使われ活性化するのです。
息を吐く(呼気)→腹横筋を使う
息を吸うことを吸気を呼びましたが、反対に息を吐くことを呼気と呼びます。
この呼気時には、インナーマッスルの1つである腹横筋などが使われます。
腹横筋はお腹周りをぐるっと1周囲うようについている筋肉です。
強く息を吐き続けるときには、多裂筋や骨盤底筋も使われます。
息を吐くことで腹横筋を中心とした筋肉が活性化するのです。
このように、ヒトは呼吸をすることでインナーマッスルを活性化しています。
泣いて呼吸をすることが大切
赤ちゃんは、大きな声で泣くことによって大きく呼吸をして、インナーマッスルをしっかり働かせています。
つまり赤ちゃんは、泣くことでからだの根っこ(体幹)の安定性を向上させていきます。
赤ちゃんが泣いているときに、お腹を観察してみてください。
赤ちゃんのお腹が膨らんだりしぼんだりペコペコと動いているのがわかると思います。
これがインナーマッスルが使われているという証拠です。
こうして体幹の安定性を獲得していくと、次第に頭を左右にコロコロと転がせるようになったり、手足をじたばたさせることができるようになります。
これが、首座り(定頸)や身体の軸の獲得につながっていきます。
(これに関しては次回の投稿で詳しくお伝えします。)
【泣く】を再学習する方法
ここまで、赤ちゃんが泣くことで体幹機能を向上させているということをお伝えしてきました。
そして前回の記事で、赤ちゃんの動きを取り入れることで、赤ちゃんの時期を過ぎた子どもも「再学習」できるとお伝えしました。
ということは、
子どもも大人も、【泣く】ことで獲得できる機能(=体幹の安定性の向上)を再学習することができるのです。
トレーニングだからといって、さすがに泣くことはそう簡単にできませんよね(笑)
だから、【呼吸】を取り入れることで再学習をしていくのです。
では具体的にどんなことをすると良いか、いくつか例をご提案します。
風船を膨らませる遊び
風船を膨らませることで、思いっきり息を吐きだして吸ってまた吐いて…と呼吸をたくさんしますよね。
また、風船を膨らませるには、強い力で息を吐かないといけませんよね。
そうすると、インナーマッスルがフル活用されます。
だから風船を膨らませるというのは、最高の体幹トレーニングになるのです。
子どもは遊び感覚でも取り組みやすい活動ではないでしょうか?
腹式呼吸
腹式呼吸という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
腹式呼吸とは、息を吸うときにお腹が大きく膨らみ、吐くときにしぼんでいく呼吸方法のことです。
これはまさしくインナーマッスルを使った呼吸トレーニングです。
大人の方は真摯に自分の呼吸と向き合い腹式呼吸に取り組むのもいいかと思います。
子どもの場合は、ゆっくりゆったりと呼吸に向き合うなんていうのは難しいですよね。
そんな場合には、「お腹から大きな声を出す」というのも似たような効果を得ることができます。
例えば、「はないちもんめ」のような声を出しながら行う遊びを取り入れるのもいいかもしれません。
まとめ
今回は、からだの根っこを育てる赤ちゃんトレーニング第一弾として、【泣く】についてお伝えしてきました。
赤ちゃんが泣くのにも大切な意味があるということをご理解いただけましたでしょうか?
赤ちゃんは快・不快を伝えるために泣いているだけではなく、
からだ作りという大切なことのためにも泣いているのです。
そう思うと、赤ちゃんがなんで泣いてるのかわからなくて不安になったり焦ったりする気持ちも少しは和らぐのではないでしょうか?
赤ちゃんが大きな声で泣いているのも少し温かい目で見守ることもできるのではないでしょうか?
そんなふうに思っていただけていたら幸いです。
そして、泣く≒呼吸することを取り入れて、子どもたちの体幹機能を高め、運動能力の向上につなげていけるといいなと思います。
では、今回はここまで!
次回は、からだの根っこを育てる赤ちゃんトレーニング第二弾!【うつ伏せ】についてお伝えする予定です。
お楽しみに!